ベタの求愛とオスの育児

ベタのオスの美しさに魅かれ、水槽とは別に小さな容器で飼育することがあります。ある時「地味なメスも買ってあげよう」と思い、水槽にペアを入れて飼育してみたのです。

オスがメスを攻撃するので繁殖はあてにしていませんでしたが、その後は飼育書にあるベタ特有の生態をリアルに見ることになりました。

水面には泡巣が作られ、オスがメスを締めつけるように抱きかかえているではありませんか。オスが体を離すとメスは気を失ったかのようにふらーっと沈んでいき、その行為を繰り返す…ベタの求愛です。情熱的すぎてこっちが赤面してしまいました。

その時メスは卵をポロポロ産んでおり、オスは口に卵を口に加えて泡巣に運んでいました。終わるとオスは泡巣につきっきりとなり、24時間体制で育児を始めます。

卵が孵化し、たくさんの稚魚がわらわらと動き出すのですが、オスは稚魚を口ですくっては泡巣に戻す、を延々続けているのです。

夫婦で育児をすることはなく、オスは自分以外の魚が近寄ろうものならすごい剣幕で追いかけまわし必死にわが子を守り続けていました。

結局、子どもをうまく育てることはできませんでしたが、ベタのオスの情熱的な求愛とイクメンぶりには驚きました。ショーベタの鑑賞もいいですが、機会があれば繁殖も経験していただきたいです。