メダカのエサに最適!?ミジンコの種類や天敵、増やし方を解説

 
 
現在、金魚のように色鮮やかな改良メダカの飼育が人気です。そのメダカのエサとしてミジンコが注目を集めています。「ミジンコで育てるとメダカがよく育ち、繁殖もしやすくなる」といった記事もネット上でよく目にします。しかし、ミジンコにも複数の種類があり、その全てがメダカのエサに適しているわけではありません。そこで今回は、ミジンコの種類別の特徴ややエサとして適しているもの、ミジンコの点滴などを一挙に紹介します。
 
 

代表的なミジンコの種類

 
はじめに、メダカをはじめとする淡水魚を飼育する際、水槽の中に発生しやすいミジンコの種類や特徴を紹介しましょう。
 

ミジンコ

ミジンコは、甲殻亜門 鰓脚綱、ミジンコ科ミジンコ属の生物です。腹の部分がふっくらと丸く、愛嬌のある形をしています。「ミジンコ」として紹介される写真やイラストの大部分がこの「ミジンコ」です。
 

マルミジンコ

ミジンコと同じく、甲殻亜門 鰓脚綱、ミジンコ科ミジンコ属に属する生物です。このカテゴリーには、オオミジンコ・オカメミジンコなどがあり、マルミジンコは身体全体が丸みをおびていることから、この名がつきました。ミジンコとマルミジンコは身体全体の形と棍棒状の第1触角の有無で見分けます。第1触覚があるのがマルミジンコ、ないものがミジンコです。
 

カイミジンコ

ミジンコと名がついていますが、甲殻亜門 顎脚綱 貝虫亜綱に属する淡水貝虫と呼ばれる生物です。貝虫という名の通り貝を持っており、ウミホタルとよく似た見た目をしています。ミジンコ、マルミジンコに比べると水質の悪化に強く、水槽の水かえを怠っていると水槽の中にカイミジンコだけが爆発的に増える、というケースも珍しくありません。
 

ケンミジンコ

ケンミジンコは顎脚綱キクロプス目キクロプス科に属する生きものです。第1触角が長く、後端に一対の叉肢を持っています。カブトエビと似たような形といえば、イメージしやすいでしょう。ケンミジンコの特徴は、動物性プランクトンを餌にしていることです。そのため、同じミジンコであるマルミジンコやミジンコを捕食してしまいます。マルミジンコやミジンコが繁殖している中にケンミジンコが発生すると、すべて捕食されてしまう可能性もあるでしょう。また、ミジンコやマルミジンコが単体で生殖が可能なのに対し、ケンミジンコは雌雄がそろっていないと繁殖しません。
 
 

ミジンコは水質浄化に役立つ

 
ミジンコやマルミジンコは植物性プランクトンを餌にしています。植物性プランクトンが増えすぎると、いわゆる「アオコ」となり、水が汚染されてしまうのです。ミジンコが水槽内に繁殖すると植物プランクトンの過剰発生が抑えられ、水質が汚染されにくくなるでしょう。ただし、ケンミジンコが発生しても植物性プランクトンは減少しませんので、注意しましょう。
 
 

メダカなどのエサになるミジンコとは?

 
この項では、ミジンコをメダカのエサにする際の注意点、エサとなるミジンコの増やし方などを解説していきます。

 

メダカの餌になるのはマルミジンコとミジンコ

マルミジンコやミジンコはメダカの餌に最適です。マルミジンコやミジンコは身体を包んでいる殻が柔らかいので、消化も良く、タンパク質も豊富です。「メダカの生き餌」として販売されているミジンコは、マルミジンコやミジンコの他に、オオミジンコ、オカメミジンコ、アオムキミジンコなどがあります。この他、ミジンコを育成するキット、水槽に入れておけばミジンコが孵化する休眠卵なども通販で販売されているので、利用してもいいでしょう。
 

ケンミジンコやカイミジンコはエサに不向き

一方、ケンミジンコやカイミジンコは魚の餌には向きません。カイミジンコは殻を持っているので、メダカをはじめとする小さな魚では消化不良を起こしてしまいます。一方、ケンミジンコはかなり素早く動くので、メダカでは捕食できません。また、ケンミジンコはヤマトヌマエビと一緒に飼育されるケースが多いのですが、これはケンミジンコがヤマトヌマエビのエサになるからではありません。ヤマトヌマエビの稚エビは、インフゾリアという肉眼では見えないくらい小さな微生物をエサとしています。このインフゾリアはケンミジンコのエサにもなるので、ケンミジンコの増え具合で、インソブリアが繁殖しているかどうかが分かるのです。
 
 

ミジンコの天敵は何?

 
この項では、ミジンコの天敵について詳しく解説していきます。どのような天敵がいるのでしょうか?

 

小魚類

ミジンコはメダカをはじめとする小魚類のエサに最適です。マルミジンコやミジンコはメダカ、ケンミジンコはグッピーなどやや大きな小魚を水槽にいれてあげると、エサとして食べられてしまいます。
 

ケンミジンコはマルミジンコの天敵

前述したようにケンミジンコはマルミジンコをはじめとする動物性プランクトン捕食します。ですから、マルミジンコよりもケンミジンコの数が増えると、マルミジンコが全滅してしまうこともあるでしょう。
 

水質悪化

マルミジンコやミジンコは水質悪化の原因となる植物プランクトンを食べてくれます。しかし、あまりに植物プランクトンが多すぎると水の中が酸素不足になり、ミジンコも死滅してしまいます。前述したように、カイミジンコが最も水質悪化に強いので、マルミジンコやミジンコが減り、カイミジンコが増えた場合は水質が悪化している可能性があります。至急、水替えなどして水質を調整しましょう。
 
 

ミジンコの増やし方

 
ミジンコは水温が10℃~35℃、弱酸性から中性の水であれば飼育できます。熱帯魚やメダカを取扱っているショップで生きているミジンコを購入するか、Amazonなどで休眠卵を購入して増やしましょう。マルミジンコやミジンコの場合は、人口餌やドライイーストで飼育します。また、グリーンウォーターの元となるクロレラも餌となります。ですから、あえてグリーンウォーターを作りたい場合は、マルミジンコやミジンコを水槽内で繁殖させてはいけません。すべて食べられてしまいます。それ以外は特に注意することはないでしょう。なお、水草などに休眠卵がついてきて、勝手にミジンコが発生したように見えることもあります。

 
 

ミジンコは増やしすぎに注意

 
マルミジンコやタマミジンコは単体生殖を行います。雌雄がいなくても増えていくのです。ですから、環境が良ければどんどん増えてしまいます。大量に繁殖した場合、一気に大量死滅を起こす可能性もあるでしょう。この場合、ミジンコの死骸によって一気に水質が悪化します。ですから、水槽をチェックして増えすぎたと思ったら、プランクトン用の網ですくうなどして数を調整してください。

 
 

まとめ

 
今回は、ミジンコの種類や特徴、エサとして適した種類、天敵などミジンコについて詳しく解説しました。ミジンコは小さいですが肉眼でしっかりと確認できます。水槽にどんなミジンコが繁殖しているのかチェックして見ましょう。ケンミジンコではメダカのエサにならず、カイミジンコでは水質が悪化している可能性があります。タマミジンコ、ミジンコが適度に繁殖している水槽が、最もメダカにとって飼育に適した水槽です。なお、ケンミジンコ、カイミジンコとミジンコは共存は可能です。ケンミジンコとカイミジンコが水槽内にいても、すぐに駆逐する必要はありません。