ベタを飼い始めて少したったころ。
つねにジーっとしているベタですが、慣れてきたのか、水槽をのぞき込んでいると、ふわりと泳ぎ出し水面に上がってくるようになりました。餌が欲しいのかと指を水面につけてみると、チョンチョンと軽くつついてきます。
闘魚と呼ばれるベタだけど、お腹がすいて催促しているようなしぐさは、かわいいなと思いました。
そういえば時々、水面に口を出してパクパクしています。調べてみるとベタにはラビリンス器官というものがあって、エラ呼吸だけでなく、”空気を吸って体内に酸素を取り込むことができる”のだそう。
魚なのに空気中で呼吸できるなんてすごい！と思いました。
あるとき、ベタの様子を見に行くと、姿が見えません。
水草のかげにもいないし、水槽の違う角度から見てもいないのです。
「あ！」そこでやっと気づきました。
さっき餌をあげた後、水槽のフタをしてなかったのです。
ベタは”飛ぶ魚”でした。
ドレスみたいな大きなヒレをゆったりヒラヒラしている姿からは、トビウオみたいに水面を勢いよく飛び出してくるイメージはなかったのですが、水槽の外に出るくらい飛ぶのです。
まさかテーブルの下に？と足元に目をやると、いつのまに来たのか飼い猫のクロが何かのにおいをかいでいます。
「やめー！！」と叫んでベタを救出。
急いで水槽に戻しました。
いつのまに飛びだしたのかわかりませんでしたが、空気中で呼吸できるベタなので、無事でした。
