グッピーの病気 – 細菌感染症・松かさ病

 
 
今回は、グッピーがかかる病気のうち、細菌感染症と、松かさ病についてご説明いたします。
 
 

細菌感染症について

 
細菌感染症ですが、これは、一つの水槽に、異なる複数のグッピーやその複数の品種を入れた時に、多く発症します。
 
細菌
 
 

細菌感染症の病状

 
細菌感染症の症状は、全体的に細くなり、さらに体が曲がり、フラフラとしか泳がずにやがて死んでしまうというものです。
 
この細菌感染症は、実は未だにはっきりした原因が分かっておりません。
おそらく、その原因となる菌がおり、その菌を持っている保菌グッピー(キャリアと言います)と、同じ一つの水槽で飼っているグッピーのうち免疫力のないグッピーが一緒になることで、発症してしまうと考えられております。
 
細菌感染症の原因が未だはっきりしないのでその治療方法もまた確立されておりません。
飼育環境を整え、グッピーを扱うときはストレスにならないようにするといった予防をします。
 
 

松かさ病について

 
次に、グッピーの松かさ病についてご説明いたします。
 
まつかさ
 
グッピーの松かさ病は、まるで松ぼっくりのように、鱗が逆立ってしまう病気です。
運動性エロモナス敗血症と呼ばれる感染症の中に含まれます。
 
 

松かさ病の原因

 
松かさ病の原因は、エロモナス・ハイドルフィアという細菌に感染することだと言われていますが、ただ未だにはっきりとした原因の特定には至っておりません。
このエロモナス菌が原因となるほかに、肝機能障害や浸透圧異常等によって発症することもあります。
また、水温や水質などの環境の変化、有機物による汚染、その他の病原微生物への感染が発症の原因となることもあります。
 
松かさ病が重症化した場合のグッピーの衰弱は顕著で、短期間のうちに死んでしまうことが多いです。
 
松かさ病の初期症状としてですが、全身の鱗が逆立って完全に開く症状は、グッピーの体表の各所において内出血が起こっており、また、腸管の炎症、腹水の症状なども同時に起こっていることが多いです。
 
初期症状の発見が遅れてしまい、松かさ病が重症化してしまった場合は、もう既に手遅れの場合があり、松かさ病の治療は困難といえるでしょう。
 
グッピーが弱ってしまうようなストレスを、与えていなかったかどうかを、一度見直すきっかけにもなります。
例えば、水質が悪化していないだろうか、水温が急激に変わるような環境になかっただろうか、グッピーの扱い方は丁寧だったか、等です。
 
 

松かさ病の予防法

 
松かさ病の一番の予防には、なんといってもその飼育環境のコントロールが欠かせません。
その飼育環境の水質、環境へ注意します。
水質の悪化、水温の急な変化など、グッピーへのストレスになる事を避けるようにして飼育しましょう。
この水質の悪化や水温の急激な変化によって、グッピーがストレスを受けると、体力が衰えて免疫力がなくなります。
そうすると菌にグッピーが感染してしまいます。
松かさ病は基本的に一年中発症する可能性がありますが、水温が変化しやすい春秋に比較的多くなります。
水温が安定しない場合はヒーターの設定温度を上げたり、ヒーターを能力が高いものに変えたり、二本使用するのも良いでしょう。
また水質ですが、松かさ病の発生が続く場合は、換水の頻度をもう少しだけ上げる等します。
また、ろ過能力の向上をはかり、さらに大型のろ過器に変えたり、サブのろ過器を追加したり、ろ過バクテリアの活動を促進させるようなろ過材や液を導入するのも良いと思います。
 
サブ
 
ろ過バクテリアを利用するその仕組みですが、まず、グッピーを飼育していく場合、餌を必要とします。
餌をグッピーが食べ、そして排泄をします。
グッピーに取ってとても有害なのが、アンモニアとなっています。
グッピーの排泄物にアンモニアが多く含まれます。
さらに、餌や糞に含まれる窒素分が、他のバクテリアによりアンモニアに変換されることもあります。
 
このアンモニアをいかに無毒化するかが、ろ過の最も大事な役割なのです。
 
ろ過バクテリアに代表的なものは2属あります。
その二つにニトロソモナス属ニトロバクター属があります。
それぞれのバクテリアの役目としては、アンモニアを、比較的無害な亜硝酸に変化させるのがニトロソモナス属です。
 
比較的無害なだけで、やはり有害には違いがありません。
そこで、もう一段階、ニトロバクター属がその比較的無害なだけの亜硝酸を、硝酸塩にかえてくれます。
 
ちなみに、このニトロバクターが作る硝酸塩がすなわち水草やコケの栄養となります。
水槽をセットしてから、コケが生え始めるまではグッピーの投入を控えたほうが良い、というのはそのカラクリからきています。
 
新たな水槽にはアンモニアが充満します。
そこで、ニトロソモナス属をろ過器フィルターに増やし、亜硝酸で水槽内を満たします。
さらに、亜硝酸を活動の材料とさせてニトロバクター属を繁殖させて活動させます。
そして、植物やコケがようやく成長できるということです。
 
コケが生える=アンモニアを無毒化できる仕組みが整った、と言えるのです。
 
厳密には、その硝酸塩も完全には無毒ではないのでやはり換水は必須です。
水草に硝酸塩を使ってもらうことで無毒化する方法や、窒素固定菌が生育できる環境をさらに追加し、亜硝酸を窒素へ戻す方法もありますが、どちらも高度な方法です。
換水に勝る方法はありません。
 
予防しても松かさ病になる事はあります。
その場合、早期に治療をしましょう。
松かさ病の治療薬にはグリーンFゴールド等があります。
 

 
薬浴は他の病気とほとんど同じやり方で、あとは既定の量を使っていけば良いです。
 
実は、松かさ病も未だはっきりした原因が分かっておらず、松かさ病の治療法は確定していないと言えます。
ですので、環境を整え予防し、換水をこまめにしてあげるのが最良の策です。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございます。