熱帯魚を飼いはじめたころのお話です。
中学生だったので熱帯魚を購入するお金もなく、
友達が珍しい魚を飼いはじめると友達の家に集まって鑑賞会をしたものです。
当時は珍しかった、レッドテールキャット、ポリプテレス、タイガーガーなど
お小遣いをためて買った魚を友達に自慢するのが私たちの楽しみの1つでした。
お正月も終わり3学期が始まったころ、
お年玉で電気うなぎを購入した友達が現れたのです。
電気うなぎなど熱帯魚屋でもめったに見ることはない魚でした。
自分は水族館でしか見たことがなかったので
「電気うなぎは本当に感電させることができるのだろうか?」
という疑問がすぐにわいてきました。
水族館で見たときは、電気のゲージのようなものがあり、
電気うなぎが放電するとそのゲージがピカピカ光っていたのを覚えています。
その電気うなぎは1メートル以上あり、
胴体も直径10cm以上はあったと思います。
しかし友達の家にいた電気うなぎは体長20cmほどの小さな赤ちゃん電気うなぎでした。
あまりにも小さかったのでものすごくがっかりしたのを覚えています。
しばらく電気うなぎを見ながらあれこれと話をしていると、
集まった友達の1人が「小さくても感電するのかな?」と疑問を投げかけました。
そして「どうだろう、ためしに指いれてみる?」と別の友達が答えます。
誰からというわけではなく、勇気のある友達から指を順番にいれていきました。
1周しても誰も感電しません。
もちろん「もう1周しよう」ということになりましたが、
今度は電気ウナギを驚かすために水槽をたたいてみることになりました。
そして1人目が指を入れて、水槽をたたいた瞬間です。
その友達は「わっ!!!」と叫んで後ろに飛んで尻もちをついています。
1メートルまではいきませんでしたが、50cmは後ろに飛んでいたので、
その場にいた全員が沈黙してしまい、尻もちをついている友達を見ています。
私の頭にも一瞬「感電死?」という言葉が頭をよぎりました。
数秒後に友達が「うでの方までビリッっときた!!」と行った時に、
安心したと同時に(本当に感電するんだ・・)と心の中で思ったのを覚えています。
感電した友達はそのあと少しの間「ビリビリマン」というあだ名で呼ばれていました。