瀕死だったオヤニラミの復活劇

 
 
オヤニラミという魚は日本の淡水魚で、
絶滅危惧種に分類されています。
しかし、現在でも少数ながら熱帯魚ショップなどで取り扱われており、飼育も可能です。
オヤニラミはエラブタの端に丸い青斑点があり、
その模様は眼状紋と呼ばれています。
日本の淡水魚に派手な種類は少ないですが、
その中でもオヤニラミは派手な部類だと思います。
私が飼育していたオヤニラミは友人から頂いた魚でした。
友人の経済状況が悪化し、私が引き取ることになったのです。
そのオヤニラミを私の家まで輸送したあとに事件が起きました。
 
水合わせを終え、オヤニラミを水槽に投入しました。
そのときは特に異常もなく普通に泳いでいました。
しかし、私が用事で二時間ほど外出したのち、
家に戻ってくるとオヤニラミの様子が変でした。
泳ぎ方が不規則で、まっすぐに泳げていない。
水合わせが足りなかったのかとも思いましたが、
一度投入してしまったら後の祭りです。
引き取ってきた初日に死んでしまうのは余りにかわいそうです。
生物を飼育している身として、人間の諸問題で命を失わせるわけにはいきません。
 
体力を消耗したオヤニラミにできることは、
とにかく酸素を供給すること。
余っているエアーポンプを二つ設置して、
私は自分の手で水槽の水面だけをかき混ぜました。
三時間ほどそれを続けた結果、
一時は体をまっすぐに保てていなかったオヤニラミが見事に復活しました。
復活してくれて本当に嬉しかったことをよく憶えています。
そのオヤニラミは、
寿命がくるまで飼育することができました。