消えたエビの赤ちゃんの謎…

 
 
父がアクアリウムを趣味にしていたことの影響で、僕も数種類の熱帯魚を飼育していたことがあります。カージナルテトラやレッドテトラ、コリドラスなど綺麗なものからユニークな姿のものまでいました。様々な熱帯魚が泳いでおり、いつまで見ていても、飽きない水槽になっていました。その中でも特に僕のお気に入りとなったのは、ビーシュリンプでした。ビーシュリンプとは、一言で言えばエビです。カラフルな体色と小さい可愛らしい姿に僕は,夢中になりました。
 
いつものように熱帯魚たちに餌を与えていると、僕はあることに気付きました。ビーシュリンプが卵を抱えているのです。僕は嬉しくて舞い上がりました。しばらくすると、孵化したらしく、じっくり見ないと見逃してしまうくらいに小さい稚エビが水草にしがみついていました。その時の感動は、今でも忘れません。これから稚エビの成長を観察していこうと意気込みをしたものです。
 
ある朝、水槽を覗き込み、ビーシュリンプの稚エビを探しますが見つかりません。水草の陰に隠れているのかと思い、その時はあまり気にしませんでした。しかし、それ以降まったく稚エビの姿が見えず、不安でたまらない僕は、父に相談しました。相談した父の言葉は、無慈悲なもので「他の魚に食べられちゃったんだね」というものでした。
 
次からは、ビーシュリンプが卵を抱えていたら別の水槽に移し、稚エビが大きくなるまで育てることにしました。しかし、なかなか上手く大人まで育ってくれません。他の魚に狙われることが無くても、水質など問題はたくさんありました。それからは、父とビーシュリンプの繁殖を成功させるため試行錯誤の繰り返しの日々は、とても良い思い出になっています。