夜中に床を歩いたポリプテルス

 
 
引っ越しを機に何か大きな魚を飼いたいと思い、我が家に迎えたポリプテルス。
寝室に置いた水槽の中を最初はかわいらしく泳いでいましたが、
三年も経つ頃にはずいぶん大きくなり存在感を増してきていました。
そんなある夜、眠っていると突然、バシャッと水の跳ねる音が聞こえました。
続いてボトッと何かが落ちた音が。
「まさか!」
私は飛び起き、すぐに部屋の電気をつけました。
そして急いで水槽のもとへ。
するとそこには、床へ投げ出されて、うねうねと身をよじるポリプテルスの姿が!
水槽に蓋を取り付けてはいたものの、
どうやらほんの僅かな隙間から飛び出してしまったようなのです。
しかもよく見ると、ポリプテルスは胸ビレを使ってよいしょ、
よいしょと歩いているではありませんか。
「ポリプテルスって歩けるんだ。」
感心しつつも、一刻も早く水槽に戻さなくてはいけません。
私はビニール袋を取り出し、ポリプテルスをその中へ誘導しました。
よちよち歩きでビニール袋へ入ったポリプテルスは、無事に水槽へ戻ることができました。
 
そのあと調べてみて分かったことですが、ポリプテルスはエラ呼吸の他に肺呼吸ができ、
発達した胸ビレを持つことから、ある程度地上を歩けるようです。
とはいえ、脱走されては魚も私も困るので、
対策として蓋の上へ重しを載せることにしました。
 
ヒヤッとさせられた事件でしたが、ポリプテルスは数日後には元気を取り戻し、
今も水槽の中を優雅に泳いでいます。