グッピーの親、どこいった!?

 
 
昔の私は大きな水槽にグッピーをたくさん飼っていました。
色は黒もいれば金色もいたりと様々でした。
当時の私は金色のグッピーに惹かれ、
その子だけ「金ちゃん」と名前をつけて可愛がるようになりました。
あるときは小さい水槽に入れて愛でていたり、
またあるときは水槽ごと散歩に連れていったりと本当に可愛がっていました。
 
そんなある日、
金ちゃんの入っている大きな水槽を覗くと金ちゃんが21匹になっているんです。
なんと子供を作っていたのです。
私はそれが自分の子供のように嬉しくて飛び上がって喜びました。
ただ金ちゃんが自分の子供なので、この子たちは自分の孫として扱いました。
わずか8歳ながら孫が21人もいる大家族になったのです。
 
名前は金ちゃん2〜22世と名付けました。
正直どれがどれだか分かりませんでした。
そして孫の2〜22世が大人になり色づいていき私の中でふと疑問に思ったのです。
「金ちゃんどれ?」
私の中では金色=金ちゃんだったので次第にみんな金色なっていき、
当時の私では見分けがつかなくなっていったのです。
金ちゃんを見つけるためにお腹、尾びれ、背びれ、模様を見ようとしてもみんな一緒で分からない。
私はその場で泣き崩れました。
「金ちゃんがい〜な〜い」と言いながら。
13年が経ち、この事を今になって聞くと母親が私に向かってこう言いました。
「実は金ちゃんは出産後に亡くなっていたのよ、
あなたが悲しむと思って言わなかったけれど」
私はすかさず
「あなたの子孫は元気ですよ。」
かつて金ちゃんのいた水槽に向かってそう呟いたのです。