グッピーのオスはやっぱりオスだった件

 
 
ある日グッピーの稚魚が白点病にかかった。

おそらく産みの親にしっぽをかじられ

なんとか逃げ切ったが病を得てしまったのだ。

しっぽが綿毛のようになってしまったその子は

自力で泳ぐことは出来ず、

水流の赴くまま流され、

虚しくも胸びれをたまにパタパタさせるだけだった。

そんなこんなで急いで他の魚たちの感染を防ぐため

皆順次に塩水に漬けられた。

今日はその時の話である。

一通り皆塩水に漬けられ

気になるものだげ塩水に残された。

性別もまだ分からない稚魚数匹とオス1匹がメインの水槽に戻ることとなった。

その時のオスの状況は見ているこっちが
赤面してしまいそうなくらいアホらしかった。

思わず「あからさま過ぎやしないかい?」と声をかけてしまいそうなくらいだった。

自慢の尾びれはだらしなく地面垂れ下がり

身体が地面につかない程度に胸びれを動かし

頭は天を仰いでいた

口こそは空いてないものの

空いていてもおかしくない顔をしていた。

完全に戦意喪失しているのだ。

なんともだらしなく、見ているこちらは恥ずかしかった。

いつもはメスに向かって

「俺を見ろよ」「良いから見るんだ」と

雌の前にしゃしゃり出ては

自慢の尾びれをひらひらさせていた。

その艶やかな動きを見て

こんなに綺麗なのにオスなんだよな

と思っていた。

が、その時のオスをみると

やっぱりオスなんだなぁと

確信させられた。

たまに思うことがある。

一通り出産を終え静かに余生を送りたいであろう母親に向かって

何匹もの息子がアピールしている姿を見るとメスだけ別の水槽に移してやりたいと

でもあの光景が離れない

当時よりもオスが増え、比率もメスよりオスの方が多い今

そんなことをすれば

何匹ものオスが

だらしなく尾びれを地面に垂らし

戦意喪失感で天を仰ぐことになるだろ

やっぱりオスとメスは切り離すことは出来ないのだと毎回思い直す。