ウナギ消失事件

 
 
ある日の仕事帰りに、よく通っているアクアリウムショップへ行きました。
毎日の仕事に疲弊していた私は、
仲良くしてもらっている店長さんに悩みを打ち明けては相談に乗ってもらっていました。
その日も、会社での愚痴を聞いてもらいながら、
かわいい魚たちを眺めていたのですが、
ふと一匹の魚に目を奪われました。
 
その魚がウナギだったのです。
まさかウナギがペットショップにおいてあるなんて思いもよらなかった私は、
すぐに店長さんに飼育方法を聞きました。
すると、大きめの水槽を準備できるなら割と簡単に飼育できるとのこと。
あとは脱走防止のために蓋をしたりすれば問題ないらしい。
 
一目惚れしたうなぎと、一緒に購入した水槽などを車に積んで、
うきうきしながら帰路につきました。
その日は友人に手伝ってもらいながら水槽を立ち上げ、
簡単なレイアウトとともにウナギを投入しました。
 
翌朝、ウナギ水槽を見たときに事件が起こりました。
水槽にウナギが見当たらないのです。おそらく脱走でしょう。
やはり初心者の私には難しかったのだと後悔しながら、
時間の許す限り探し回りましたが、結局見つけることはできませんでした。
翌日、店長さんにかわいそうなことをしたと伝え、
何もいない水槽は寂しいので、他の魚を迎えることにしました。
 
そして、三ヶ月が経ち、ウナギがいなくなった水槽もにぎやかになってきました。私はウナギに悪いことをしたと思いながらも、楽しいアクアライフを送っていたのです。そんなある日の夜、元ウナギ水槽に取り付けている上部フィルターの落水音がおかしなことに気がつき、電気をつけて水槽を見に行きました。
 
するとなんと、出水口からウナギの頭がでているではありませんか!
あの日に死んでしまったと思っていたウナギはフィルターの管で元気に生きていました。
びっくりと同時に安堵と癒しをもらったエピソードでした。