早めの対処が大切!! ベタがかかりやすい病気と治療法を解説

ベタ

ベタは適切な飼育をしていれば、病気になりにくい魚です。しかし、ちょっとした不注意や環境の変化で病気になってしまうこともあります。ベタに限らず、魚の病気は早期発見、早期治療、そして予防が大切です。そこで今回は、ベタがかかりやすい病気や治療方法、予防方法などを解説します。初めてベタを飼育する方は、ぜひこの記事を病気の治療や予防に役立ててください。

ベタがかかりやすい病気

はじめに、ベタがかかりやすい病気の代表例と症状を詳しく解説します。どのような病気にかかりやすいのでしょうか?

ベタの病気 – 白点病

白点病は、ベタをはじめとする観賞用熱帯魚が最もかかりやすい病気の1つです。
「ウオノカイセンチュウ(イクチオフチリウス)」という寄生虫の寄生が原因で発症します。この寄生虫は水中に常在しているので、完全に取り除くのは不可能です。ベタの免疫力が正常であれば寄生されませんが、水温が急激に下がる、水が汚れっぱなしといった条件下でベタの免疫力が低下すると寄生されやすくなります。初心者の場合、水の管理の失敗で発症させてしまうことが多いでしょう。特に、水温が20度前後まで下がると発症しやすいようです。
症状は、ベタの身体に白点が出る、身体を水槽などにこすりつけるように泳ぐようになります。胸びれあたりに白点が出ると、目立つので発見しやすいでしょう。

ベタの病気 – コショー病(ウーディニウム症)

コショー病も、ベタがかかりやすい病気の1つです。白点病と同じく寄生虫が原因ですが、こちらはウーディニウムという鞭毛虫類が身体に寄生することによって発症します。この寄生虫も水中に常在しており、ベタの免疫力が下がることによって発症するのです。症状は、白点病と同じように身体に白っぽい斑点が出ますが、コショー病のほうが白点病より細かく、黄色がかっているのが特徴です。

ベタの病気 – 尾ぐれさ病・口ぐされ病

カラムナリス菌にベタが感染することによって発症する病気です。尾の付近に感染すれば「尾ぐされ病」、口付近に感染すると「口ぐされ病」と言われます。尾ぐされ病になると、尾がボロボロにくずれた感じになり、口ぐされ病になると口の周りがただれたように見え、やがて組織の欠落が起こります。カラムナリス菌は、傷口からベタの体内に侵入するので、流木などにぶつかってケガをしたり、なんらかの理由で尾が避けたりしたりすると発症しやすくなります。カラムナリス菌は水中に常在しており、水質の悪化とともに増殖するのです。ですから、水かえを怠ったり、狭い場所でベタを飼育していたりすると、発症しやすくなります。

ベタの病気 – マツカサ病

マツカサ病は、エロモナス・ハイドロフィラという細菌に感染することにより、発症する病気です。発症すると鱗が松ぼっくりのようにさかだって見えます。マツカサ病が進行するとベタの身体に毒素がたまって組織が壊死し、「ポップアイ」と呼ばれる眼球が突出するような症状がでることもあります。早期発見しない限り友好的な治療法がなく、「ベタの不治の病」と言われています。

ベタの病気 – 水カビ病

水カビ病は、水中に常在する真菌に感染することにより発症します。ベタの身体に白いワタのような水カビがつくのが症状で、進行すると水カビはベタの身体を覆い尽くし、呼吸困難などの症状が出ます。水カビ病はベタの免疫力の低下が発症の引き金のなることが多く、コショー病や白点病を発症後に発症することもあるでしょう。また、ベタの輸送や水替え中に身体がどこかにぶつかってケガをすると、そこから真菌が侵入して発症しやすくなります。

ベタが病気にかかった場合の対処方法

ベタ

ベタが病気になった場合でも、早めに対処すれば完治することもあります。この項では、病気の対処方の代表例を紹介します。

薬浴

薬浴とは、薬を溶かした水にベタを入れて泳がせる治療法です。ベタの病気に使う薬は以下のようなものがあります。

グリーンFゴールド

細菌性感染症全般に効果のある薬剤です。尾ぐされ病・口ぐされ病、皮膚炎などに効果があります。

ヒコサンZ

白点病、尾ぐされ病、水カビなどに効果的な薬剤です。

観パラD

マツカサ病に効果のある薬剤です

この3つがあれば、大抵の病気に対処できます。使用前に必ず説明書を読んで、用法、用量を守って使用してください。

塩浴

塩浴とは、文字通り塩水でベタを泳がせることで、治療をする方法です。薬浴と並行して行ってもいいでしょう。特に、コショー病や白点病、白カビ病は塩浴が効果的と言われています。塩の割合は0.5%前後です。家庭にある塩を使ってもいいですが、熱帯魚用の「塩タブレット」も販売されています。

水温を上げる

白点病やコショー病、水カビ病は水温を上げることで菌を死滅させることができます。ベタの飼育に適温の水温は25~28℃ですが、病気を治療するために30℃前後まであげましょう。水温を上げた上で、薬浴、塩浴させるとより効果が期待できます。

水温を下げる

マツカサ病になった場合は、24℃まで水温を下げることで菌を殺すことができます。マツカサ病になったと思ったら、水温をさげ、注意深く観察しましょう。水温の低下はベタにとってはストレスなのです。

水はこまめに替える

ベタが病気になったら、水をこまめに変えて水質の保持に勤めてください。2~3日に一度くらいは水を替え、常にきれいな水の中でベタを泳がせてあげましょう。

ベタが病気にならないための予防方法

ベタ

ベタが病気になっても適切な治療を行えば、回復させることはできます。しかし、回復できる確率は20~30%と決して高くはありません。ベタを長生きさせたければ、病気を予防することが大切です。この項では、その方法を紹介します。

病気の個体を購入しない

残念ですが、ショップにいる間に病気を発症する個体もあります。特に、尾ぐされ病、口くされ病は傷から菌が侵入するため、輸送中に傷ついた個体が発生しやすいのです。ですから、ショップで個体を選ぶ際、尾や口元をよく観察してください。症状が出ていなくても、身体に傷のある個体は避けましょう。

広い水槽で飼う

ベタはビンでも飼える魚として販売されていることもあります。水槽以外の場所で飼いたいと考えている人もいるでしょう。しかし、水が少なければ水質が悪化しやすく、ベタのストレスになります。最低でも一匹1L以上の水の中で泳がせてください。ですから、30cmキューブ~60cmサイズの水槽に入れて飼うのが理想です。

水質の悪化に気を配る

水質が悪化すると菌類が繁殖しやすくなり、ベタの免疫力も低下します。1日2回は水槽を観察し、水の様子に気を配りましょう。水替えは1~2週間に1度、水槽の三分の一~半分程度ずつ行います。また、「ジクラウォーター・ベニッシモ」や「テトラ アクアセイフ プラス」といった水質調整剤を使って水質を整えるのも効果的です。

水温を25~28℃に保つ

ベタは東南アジアの魚です。ですから、25~28℃が適温です。20℃前後まで下がると白点病やコショー病などの発症率が上がるので注意してください。小さなビンでベタを飼うと、水温がうまく保てません。特に、冬は暖房を焚いた室内でも水温は20℃くらいまで下がってしまいます。ですから、ベタの飼育にはヒーターと水温計が必要です。

ベタを傷つけないように注意する

ベタが流木などに当たると口や尾ひれが傷ついてしまいます。また、水流が強すぎてもベタはストレスがたまります。ベタを飼育する場合、水槽の中に入れるのはじゃりや水草だけにして、尾も癒着させないよう、適度にフレアリングさせましょう。

まとめ

今回は、ベタの病気について解説しました。初心者の場合、病気を発症させるとそのまま死なせてしまうことが多いのです。ですから、病気を発症させないように水質や温度管理をきちんとしましょう。また、ベタを迎える前に水作りをしておくことも大切です。