主人の熱帯魚の水槽にシマカノコガイが来た日。
彼ら3匹は主人にひっくり返らないように丁寧に水槽に入れてもらったあと。
(シマカノコガイなどは一度ひっくり返ってしまうと自分では起き上がりはことが出来ず死んでしまう)
各々散策を始めたが、
1匹だけ水草に乗って動かずにいた者がいた。
彼の体に対して明らかに小さい水草の名は、
アヌビアスナナ・プチ
プチと言うだけあって小さい葉だ。
まるで陸上で咲いているかのような出立で
水槽にあると一瞬ここが陸上なのか?と錯覚させられる水草だ。
その水草の葉に乗るものだから
本来なら葉がしなってもおかしくない。
だか、しならずそのまま。やはり水の中だと確信させられてしまう。
主人はその水草を大事にしていた。
私にはどうしてそんなにいいのかわからなかった。確かに植物でも双葉が出ると「可愛い、可愛い」と言っていたのでその気持ちかな?くらいに思っていた。
翌日事件は起きた。
昨夜おとなしくシマカノコガイが乗っていた水草が穴だらけの悲惨なことになっていたのだ。
主人は
「えび?えび?えびのせい?」と言っていたが、
私は知っていた
そこにシマカノコガイがいたことを
主人に説明すると
「そんなこともあるのか」と落胆していた。
彼にとって
アヌビアスナナプチもシマカノコガイも可愛い存在になってしまったのだ。
どちらも手放すことはできない。
その気持ちを知ってか知らずか
シマカノコガイはあれから一度もアヌビアスナナプチを食べていない。
この水槽は主人のものだ
主人の手の中だ
主人に嫌われるのは死活問題
無残にも虫食いだらけの一枚の葉の横で
シマカノコガイが今日もせっせと水槽の掃除している。生き残るために。