サンゴは動きこそありませんが、美しい形や色で人気がある海洋生物です。天然のサンゴを採取することはできませんが、熱帯魚を扱っているペットショップでは、サンゴを購入することができます。今回はサンゴの育て方や飼育する際の注意点を紹介しましょう。
自宅で飼育できるサンゴの種類
はじめに、個人の住宅に置けるサイズの水槽で飼育できるサンゴを紹介します。
ソフトコーラル
ソフトコーラルとは、死んでも白い骨格が残らないサンゴの総称です。イソギンチャクもソフトコーラルの一種に分類されます。初心者でも育てやすいといわれているマメスナギンチャクやスターポリープなどが代表格です。値段も千円台~3千円とお手頃になっています。
ハードコーラル(LPS)
白い骨格が残るハードコーラルは、さらにLPSとSPSという二種類に分類されます。LSPというのは、ラージポリプストーニーコーラルの略で、骨格に対し大きな職種を持っているサンゴです。クマノミの隠れ家になっているトランペットコーラルが代表格です。その他、ハナサンゴ、ナガレハナサンゴもあげられます。最近人気の
フラグサンゴもLPSに分類される種類です。見栄えがし、インテリアとしてモテキしていますが、ソフトコーラルより小まめなお世話が必要です。
ハードコーラル(SPS)
SPSはスモールポリプストーニーコーラルの略で、いわゆる「サンゴ」というと真っ先にイメージされる形をしています。スギノキミドリイシなどが該当します。サンゴの中では比較的飼育が難しく、水流や水温などデリケートな調節が必要になります。ただし、一度環境が安定してしまえば、盆栽のようにゆっくりと成長を楽しめるサンゴです。
陰日性サンゴ
陰日性サンゴとは、光合成をせず、プランクトンなどを捕食して生きているタイプです。照明などは一切必要ありませんが、給仕が必要で、冷たい水を好みます。美しく珍しいサンゴが多いのですが、飼育難度は高めです。
サンゴの飼育方法
では、サンゴはどのように飼育するのでしょうか?この項では、サンゴの飼育方法を詳しく紹介していきます。
サンゴ飼育に必要な道具
サンゴの飼育に必要なものは以下のようなものです。
水槽……少なくとも30cm以上のもの、45cm~60cmサイズであれば水温の調節がやや楽。
人工海水の素……サンゴは海水で育つので、人工海水の素が必要です。「ジェックス人工海水シーウォーター」などを使えば、水道水から海水が作れます。
比重計……海水の濃度が適正かどうかを確かめるために必要です。
硝酸塩濃度測定キッド……バイコム スターターテストキットなど、水中の硝酸塩やアンモニアの濃度を測定するキットを使って、水質を保ってください。
ヒーター……陰日性サンゴを飼育するとき以外は、必要です。
照明……サンゴを飼育するには専用の照明器具が必要です。LED Shannon 16などを用いてください。
ウェーブポンプ……サンゴが適切に育つ海流を作ることができる装置です。ファンタスティックウェーブ ZX4000などがおすすめです。
サンゴ砂、栄養剤……サンゴを植え、栄養を補うために必要です。ジュン プラチナリーフサンドなどがおすすめです。
サンゴに適した飼育環境の作り方
ソフトコーラルやハードコーラルは、水温が22~27℃まで、硝酸塩濃度が10~20ppmの水質の水で育てます。硝酸塩濃度が高すぎる、水温が低すぎるなどの環境では、元気がなくなってしまうので気をつけましょう。また、サンゴは水流がなければ育ちません。水流が水槽の壁や床にぶつかって広がっていくような強すぎず、弱すぎずの水流がおすすめです。今はサンゴを飼育する動画などが上がっていることもあるので、参考にしてみてもいいでしょう。また、照明はサンゴが生息している深さに合わせて調節します。浅い海に住んでいるサンゴを育てる場合は強く、深い海に住んでいるサンゴを育てる場合は照明を弱くしましょう。
サンゴ同士は接触させないように植える
サンゴには微弱ですが毒があります。サンゴを複数植える場合は、個体同士が接触しないように植えましょう。同種類のサンゴを複数植える場合も同様です。また、サンゴを触ったら必ず手を洗ってください。サンゴを触れた手を洗わずに目や口に触れると、炎症を起こす危険性があります。
栄養剤はサンゴに合わせて与える
陰日性のサンゴ以外は、光合成で栄養を作ることができるので、過度な栄養は必要ありません。しかし、サンゴを大きくしたい場合は栄養剤を与えるといいでしょう。光合成ができるタイプのサンゴを育てる場合は、液状の栄養剤を与えます。与え方は栄養剤の説明書に従ってください。
サンゴは気長に育てる
サンゴは魚のように日ごとに大きくなっていくことはありません。しかし、年単位で見れば成長していくのが分かるでしょう。ですから、サンゴは動物というより植物を育てるような感覚で接していくのがおすすめです。ただし、地上の植物よりかなりデリケートなので、小まめにお世話をしてください。水温と水質のチェックはマメに行いましょう。
サンゴは天然物を取らない
サンゴの採取は多くの地域で禁止されています。ですから、天然のサンゴを取ってはいけません。ダイビングの趣味がある人は十分に気をつけましょう。イソギンチャクなども同様です。
まとめ
今回は、サンゴの飼育方法を紹介しました。サンゴは魚よりも飼育が難しい面がありますが、ゆっくりと成長を楽しむことができます。魚の飼育になれたら、挑戦してみるのもおすすめです。最初はソフトコーラルからチャレンジしてみましょう。