ヤマトヌマエビの汽水を使った繁殖方法
今回はヤマトヌマエビの繁殖について紹介したいと思います。
熱帯魚水槽でコケ取りや残った餌の掃除屋さんとして重宝される小型のエビです。
淡水で飼育されるのですが、幼生は海に下りそこで成長するので、繁殖には海水が必要となります。
ミナミヌマエビなどのように、オスとメスをただ一緒に入れておけば勝手に増えるわけではないので難しいです。
ヤマトヌマエビについて
ヤマトヌマエビはインド太平洋沿岸の河川に生息しています。
オスは3cm、メスは4cmほどと、メスのほうがかなり大きく成長します。
食性は雑食性で藻類やデトリタス等なんでも食べます。
生活史は両側回遊型で、幼生が海に下り、そして海で成長すると川に遡上してきます。
ヤマトヌマエビの繁殖
ヤマトヌマエビは熱帯魚飼育水槽において掃除屋さんとして飼われている方も多いと思います。
その中で、一度か二度はお腹に卵を抱えたメスのヤマトヌマエビを見たことがある方もいらっしゃると思います。
しかし、卵は確認したけれども、稚エビを見たことがないという方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
増えてくれたら掃除も捗るだろうに、なぜ増えないのか。
それは、ヤマトヌマエビの生活史に関係していますが、淡水で生きているにも関わらず、汽水を使った特別な方法でしか繁殖させることが出来ないのです。
もうすでに、販売店のスタッフさんに聞いて、難しいと諦めている方もいらっしゃるかもしれませんが、今回そのヤマトヌマエビの繁殖の方法の一例をご紹介します。
ヤマトヌマエビの繁殖の道具
ヤマトヌマエビの繁殖の水槽
既に熱帯魚水槽でヤマトヌマエビを飼っているのであればその水槽で良いのですが、繁殖を狙う場合は10匹前後以上居たほうが良いです。
現在の水槽が小さい場合は、最低でも30㎝水槽くらいの大きさ以上の水槽を選びます。
出来れば60㎝水槽が理想的です。
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抱卵しているメスのヤマトヌマエビを隔離し、ゾエア幼生と呼ばれる赤ちゃんエビを育てるための小さい水槽を用意します。
小さい水槽と言っても、最低限スポンジフィルターが収まる大きさ以上は欲しいので、規格水槽の20㎝水槽が良いでしょう。
そして、スポンジフィルターはエアリフト式でエアポンプを使うのですが、あまりに空気の勢いが強いとスポンジフィルターの水流が強くなり過ぎます。
ゾエア幼生は強い水流では死滅してしまうので、エアポンプとスポンジフィルターの間にコックを挟み、空気量を調整します。
ヤマトヌマエビの繁殖のろ過器
親エビの飼育水槽においてはセット水槽に付属のろ過器で構いません。
エビの飼育においてより良いろ過器は、上部フィルターのように密閉式ではなく抜気が可能なろ過器や、シャワーパイプなどで水面を叩き抜気して酸素を取り入れられるようなろ過器が優れています。
エビは水質の悪化や化学物質の他に、酸欠に非常に弱いので、抜気できるようなろ過器のほか、できればエアレーションをしてあげましょう。
ヤマトヌマエビの繁殖の照明
水槽にセットの照明で十分です。
もしセットに付属していない場合は水槽のサイズに応じて選びましょう。
親エビの水槽には照明は必要ありませんが、ゾエア幼生の水槽には照明を使います。
ヤマトヌマエビの繁殖の塩と汽水
人工海水の元を真水に溶かして、それを真水で薄めて使います。
ヤマトヌマエビの繁殖に使う汽水の塩分濃度は、海水の約70%ほどに調整します。
まず海水を作るのですが、例えば10リトルほどの真水を用意した場合、そこに10リトルに対しての規定量の人工海水の元を溶かします。
そして、海水と真水を混ぜるのですが、海水対真水の比率を7対3にします。
これで海水の70%%の汽水が完成です。
ヤマトヌマエビの繁殖の餌
ヤマトヌマエビの親エビは雑食性なので何でもよく食べますが、難しいのはその子供のゾエア幼生の餌です。
繁殖のさせ方はいろいろあり、ゾエア幼生に与える餌も人により違います。
今回こちらでは、グリーンウォーターの元を用います。
グリーンウォーターとは主にクロレラなど、他緑藻類やミドリムシ、藍藻類などです。。
グリーンウォーターも生きており、それを維持するためには光を半日以上当てて光合成をさせます。
ヤマトヌマエビの繁殖方法
ヤマトヌマエビのオスとメスを一緒に入れる。
ヤマトヌマエビの繁殖にはまず、オスとメスを同じ水槽に入れます。
オスとメスの区別がエビの仲間の中では区別しやすいです。
オスは体が小さく尾も細く、メスはオスより一回り大きく、卵を抱くように尾も太くなっています。
観賞魚店で購入する時にオスとメスが揃うようにちゃんと確認してから購入しましょう。
10匹ほど購入するとよいでしょう。
また、同時にゾエア幼生や稚エビを育てる小水槽もセットします。
抱卵したヤマトヌマエビのメスを移す
抱卵したヤマトヌマエビのメスを小型汽水水槽に移すのですが、抱卵した卵は最初の2週間くらいはグレー色ですが、だんだんと色が薄くなってきます。
そして、メスが卵を激しくパタパタと扇ぎだしたら、いよいよ移します。
卵が全部孵化してなくなったら、そっと親エビだけを取り出して、元の大きい水槽の方に戻します。
水槽を移すときはゾエア幼生の海水と同じ濃度の塩水を作って水合わせをしましょう。
孵化すると、とても小さいゾエア幼生が水中をピョンピョン動く様子が見られます。
ゾエア幼生や稚エビの餌やり
市販のグリーンウォーターの元を用いてグリーンウォーターを作ります。
小さい容器などで作りますが、作った後は日光の当たる場所において保管します。
餌やりはスポイトで数滴与えます。
2週間くらいはゾエア幼生でグリーンウォーターしか食べませんが、だんだん稚エビになってきて親エビと同じような形になってきたら、だんだん親エビ用の餌を細かくすり潰すなどして与えます。
稚エビを淡水に慣れさせる
親エビと同じような形になりだんだん大きくなってきたらいよいよ淡水に慣れさせます。
小水槽の水を少しすくって捨てて、今度は真水をその分足して、同時に換水にもなります。
この繰り返しでだんだんと淡水に慣れさせていきます。
あとは親と同じ餌に慣れさせて成長を待つだけです。