ミナミヌマエビは、日本にも生息している小型のエビです。生涯を淡水で過ごし、「水槽の掃除屋」とも言われています。「メダカと一緒に飼育することをすすめられた」という方もいるでしょう。今回は、ミナミヌマエビの飼育方法や繁殖方法を詳しく解説します。
ミナミヌマエビの生態と特徴
はじめに、ミナミヌマエビの特徴と飼育するメリットなどを紹介します。なぜ、「水槽の掃除屋」と呼ばれているのでしょうか?
ミナミヌマエビは生涯を淡水で過ごすエビ
ミナミヌマエビは、名前のとおり流れが緩やかで水草など身を隠す場所が多い場所に生息している小型のエビです。日本では、静岡県焼津市より西、滋賀県大津市より南に生息していますが、近年は外国産のミナミヌマエビと日本の同種との交雑が進み、生息範囲が広がっています。水草がたくさん繁殖しているところならば、捕まえることができるでしょう。体長はオスが20mm、メスが30mm前後です。寿命は1~2年で、水槽内で繁殖させることができます。
ミナミヌマエビは水槽の掃除屋
ミナミヌマエビは、水草の影に隠れ住み、魚の死骸や他の魚が食べ残した餌などを食べます。そのため、水槽の掃除屋と呼ばれ、他の魚と混泳させて飼育することをすすめられることが多いのです。特に、メダカとは相性がいいので、メダカとミナミヌマエビとセットで販売しているところもあります。また、水質や温度の変化に敏感なため、水質のバロメーターにもなります。
ミナミヌマエビが初心者向けと言われる理由
ミナミヌマエビは日本の温暖な気候の場所に生息しています。ですから、水温を20℃前後に保ち、水草など身を隠せるところを作っておけば、それほど神経質に水質や水温を管理しないでも飼育することができます。また、他の魚の餌の食べ残し、水あか、水槽内に繁殖する藻などを食べてくれるので、飼育していると水が汚れにくいのもメリットです。
ミナミヌマエビの飼育方法
では、ミナミヌマエビはどのように飼育すればいいのでしょうか?この項では、必要な道具や飼育方法を紹介します。
ミナミヌマエビを飼育するために必要な道具
ミナミヌマエビの飼育に必要な道具は以下のようなものです。
水槽:他の魚と一緒に飼育する場合は30cm~60cmサイズの水槽がおすすめ。メダカと一緒に飼育するならば、「ジェックス 金魚元気 水きれいセット」などの飼育セットを使ってもいいでしょう。
濾過器:水流をつくり水を濾過するために使います。
水温計:水の温度を測るために使います。
水草:隠れ家になります「ウィローモス」などを置いておいてもいいでしょう。
底砂:メダカソイルなどを敷いておきます。
ミナミヌマエビに餌は必要ない?
ミナミヌマエビは藻や水あかを食べるので餌は必要ないという意見もあります。しかし、交配をさせたい場合や水替えを頻繁にして藻や水あかが発生しない場合は、エビ用の餌をあげて栄養状態をよくしましょう。「オクトゼニス プロ ヌマエビ」などがおすすめです。
まず水槽を作ってからエビを迎え入れる
水道水をそのまま水槽に入れて、そのまますぐにミナミヌマエビを入れてはいけません。水温を20℃前後に保ち、水草や流木で隠れる場所を作ってあげてからミナミヌマエビを放ちましょう。メダカと一緒にいれても大丈夫です。
寒さ対策と夏の遮光対策を忘れずに
静岡県焼津市より西、滋賀県大津市より南の地域ならば、水温管理は簡単です。5℃前後までは生育に影響はありません。ただし、東北や北海道などの寒冷地は冬場になると水温が5℃以下まで余裕で下がります。ですから、冬は水温管理を忘れずに行いましょう。また、ミナミヌマエビは水温が30℃以上になると死んでしまいます。夏、日当たりのいい場所に水槽を置いておくと水温が30℃を容易に超えてしまうので、遮光対策はしっかりと行ってください。
ミナミヌマエビと他の魚の混泳は十分に注意する
ミナミヌマエビは、他の魚と混泳させて飼うのが一般的です。しかし、ベタやエンゼルフィッシュなど、エビを餌にしている魚、攻撃性が高い魚と一緒に入れると、ミナミヌマエビは食べられてしまいます。また、コリドラスステルバイなど、生活する場所が同じ魚は、縄張り争いでミナミヌマエビが敗れてしまうこともあるので、気をつけましょう。混泳させる場合は、ミナミヌマエビが隠れる場所をしっかりと作ってあげた上で行ってください。
ミナミヌマエビの繁殖方法
この項では、ミナミヌマエビの繁殖方法を解説します。
ミナミヌマエビは水温が20℃前後で繁殖する
ミナミヌマエビは水温が20℃前後の場所でメスオス一緒に飼育していれば繁殖します。隠れ家があれば特に何もしないでも繁殖するので、「きがついたら増えていた」ということもあります。意図的に繁殖させたければ、水温を管理しましょう。
ミナミヌマエビの抱卵の期間
ミナミヌマエビはメスが抱卵し、2~4週間で孵化します。幼生はなく、いきなり親と同じ姿で誕生します。ですから、抱卵の期間が長めです。なお、赤ちゃんミナミヌマエビは、全ての魚の餌になりますので、抱卵をしているメスを見かけたら、別の水槽に移してください。成体になるまで一緒にしてはいけません。
ミナミヌマエビの幼魚の育て方
ミナミヌマエビの幼魚は、成体と同じような環境であればすくすく育ちます。濾過器などは必要ありません。むしろ、幼魚が吸い込まれてしまうので、金魚鉢のようなものの方が向いています。苔などが全くない環境ならば餌を与え、成体になったら親と一緒にしましょう。
まとめ
今回はミナミヌマエビの飼育方法や繁殖方法を紹介しました。特別な世話をすることは必要ありませんが、水温にだけ注意しましょう。また、他の魚と一緒に泳がせたい場合は、固体同士の相性もあります。混泳可能という魚でも、しばらくは様子を見ましょう。なお、メダカとの飼育は99%以上うまくいきます。ただし、赤ちゃんミナミヌマエビは食べられてしまうので、別の場所に隔離してください。