水替え不要?無換水水槽の作り方と注意点を解説

無換水水槽
 
 
熱帯魚を飼育する際、欠かせない作業の1つに水の交換があります。飼育する熱帯魚の種類によっては1週間に1度以上の換水が必要になるので、「大変」「面倒」と感じる人もいるでしょう。そこで今回は、水替えが極力不要になる無換水水槽について解説します。無換水水槽を立ち上げることができれば、水替えの手間がグッと減ることでしょう。立ち上げる際の注意点やコツなども詳しく紹介するので、「熱帯魚を飼育してみたいけれど水替えが面倒そうで迷っている」という人は、ぜひこの記事を読んでみてください。
 
 

無換水水槽の基礎知識

 
はじめに、無換水水槽とはどのようなものかを解説していきます。どのようなシステムで水の交換をせずとも水質が保たれるかが分かります。
 

水槽の水替えが必要な理由

無換水水槽について解説する前に、水槽の水替えが必要な理由を説明します。水槽には、飼っている生きものから出るさまざまな汚れが蓄積していきます。一例を挙げると、バクテリアが分解した汚泥、硝酸化作用によってできる硝酸塩、流木から出るアクやフェノールなどです。このような汚れがたまっていくと、水が濁るだけでなくPhが酸性傾いていきます。また、水に含まれる二酸化炭素やカルシウム、マグネシウムは水草を活性化させる効果があるのです。つまり、定期的に水を替えることにより、水の汚れを除去して透明度を維持し、ph値を安定させ、水草を活性化させることができます。
 

水をきれいにする仕組みを作れば水を替えなくてもよい

水槽内の生きものが汚れを出すのならば、その汚れを分解して栄養とする仕組みを作り出せばいいのです。たとえば、熱帯魚やシュリンプの出す汚れを分解するバクテリアと分解された汚れを吸収して栄養素とする水草を入れてあげれば、水はきれいになっていきます。これは、自然界の川や池が持っている自浄作用と同じ仕組みです。
 

無換水水槽とは水槽の中に自然界の自浄リサイクルを作る

つまる、無換水水槽とは水草や底砂を工夫することにより、水槽の中に自然界の自浄リサイクルを再現することなのです。これができれば、こまめな水替えは必要なくなり、水が蒸発した分だけ水を足してやればいいので、水槽の管理が格段に楽になることでしょう。
 
 

無換水水槽の作り方

無換水水槽
 
では、どのようにして無換水水槽を作ればいいのでしょうか?この項では、無換水水槽を作るコツや水草、底砂の選び方を紹介します。ぜひ、参考にしてください。
 

硝酸塩やリン酸塩を分解する底砂を使う

水槽の水を最も汚すのは、熱帯魚などの排泄物に含まれているアンモニアです。アンモニアはバクテリアによって分解され、硝酸塩やリン酸塩となります。この硝酸塩やリン酸塩は水槽を汚すコケの餌になるのです。コケを繁殖させないようにするには、水草にこの2つを「栄養素」として吸収してもらえばいいのですが、植物が吸収できる量は限界があります。そこで、「ブルカミア」に代表される脱窒菌と呼ばれるバクテリアを含む底砂を利用し、硝酸塩を窒素にまで分解して空気中に放出するのがおすすめです。「水替え不要のソイル」などという名目でAmazonでも販売されています。
 

水草は肥料食いで育ちやすいものを多めに入れる。

水草は、水質をきれいに保つための重要な存在です。リン酸塩を吸収、分解するためには肥料をたくさん必要とするグロッソ・スティグマや陽性草であるロタ類を多めに入れましょう。また、カルシウムやマグネシウムを含む肥料を追肥してあげることとで、水草の育成をより促進します。
 

ライトとフィルターは必須

フィルターは、水の中の不純物を取り除くのに必要です。無換水水槽を作る場合は、「エーハイム クラシックフィルター 2217」などの強力なフィルターをセットしましょう。そうすれば、水を替えなくても浮遊物や不純物などを取り除くことができます。ライトは、水草を育成するために必要です。特に、太陽の光が届きにくい室内の水槽を無換水水槽にする場合は、ライトを陽光の代わりにしてください。
 
 

無換水水槽で飼育する魚の数と餌やりについて

無換水水槽
 
この項では、無換水水槽で飼育する魚の数と餌やりのコツなどを紹介します。
 

魚の数は少なめに

魚の数が多くなるほど、排出される汚れは多くなります。ですから、水草の量に対して、魚の数は大分少なめにしましょう。たとえば、無換水水槽を初めて作る場合は、ベタ1匹だけなどがおすすめです。群泳する魚も、5匹程度にしておきましょう。無換水水槽が順調ならば、少しずつ魚を増やしてもいいでしょう。
 

餌も少なく

無換水水槽には少量のコケも生え、微生物も発生しており、餌を多めにやらなくても熱帯魚が生きている環境が整っています。ですから、餌は1日1回魚が1~2分で食べきれる量だけで大丈夫です。熱帯魚の様子をよく確認し、痩せて弱らない限り、餌を増やさないようにしましょう。
 
 

水足しは行う

無換水水槽
 
無換水水槽は水替えの必要ありませんが、水は蒸発しているので適度な水足しは必要です。2週間に1度の割合で水を足して行きましょう。その際、水槽の様子をいつもより丁寧に確認し、水替えが必要かどうかをチェックしてください。無換水水槽はデリケートなので、ちょっとした環境の変化でバランスが崩れて水質が悪化していきます。ですから、順調にいっているように見えても、チェックを欠かさないことが重要です。
 
 

まとめ

 
今回は無換水水槽の作り方や仕組みなどを詳しく解説しました。無換水水槽は少量の熱帯魚を水替えの手間を極力少なくして飼育することに適しています。ですから、熱帯魚の飼育にやや慣れたら、試してみてもいいでしょう。