初めて熱帯魚を飼育する人に人気な魚の代表格に「ベタ」があります。リボンのような美しい尾ひれが印象的な魚で、コップでも飼育できるという触れ込みで販売しているショップもあります。最初の一匹は「ベタにしよう」と決めている人もいるかも知れません。しかし、ベタの飼育には注意点も多いのです。今回は、ベタの正しい飼育法や注意点を紹介しましょう。
ベタが「初心者向けの熱帯魚」と言われる理由
はじめに、ベタの特徴や、なぜ初心者向けの魚と言われる理由などを説明していきます。
ベタはタイが原産の熱帯魚
現在、日本で流通しているベタはタイに生息している「ベタ・スプレンデンス」を改良したものです。ベタにはいろいろな種類がありますが、最も多く流通している種類が、「トラディショナル」です。ショップでは千円以下で販売されていることが多く、初心者でも求めやすいので人気があります。そのほか、流通が多い種類としては、「ハーフムーン」「クラウンテール」「ダブルテール」「プラカット」などがあります。
ベタはエラ以外でも呼吸ができる
ベタの原種は流れが緩やかな川や田んぼなどに生息しています。流れが少ない水は酸素量が少ないため、ベタには「ラビリンス器官」という特殊な呼吸器官が備わっているのです。ベタはラビリンス器官とエラを使って呼吸をするため、他の熱帯魚よりも少ない酸素量で飼育ができます。これが、ベタが初心者向けといわれる最大の理由です。
ベタは1匹での飼育に向いている
ベタは和名を「闘魚」というくらい好戦的な魚です。雄同士を同じ水槽の中に入れておくと、どちらかが死ぬまで戦うことも珍しくありません。また、ほかの魚と一緒に飼うのも難しいので、1匹だけで飼育することになります。複数の熱帯魚を一度に飼うより、一匹だけの方が管理は楽です。
ベタの選び方
ベタはペットショップ以外の場所でも販売されています。しかし、販売場所によってはベタの飼育状況が適切でないため、長生きが難しいケースもあるでしょう。この項では、ベタの選び方を紹介します。
最初の一匹はペットショップで購入する
ベタは雑貨屋やホームセンターでも販売されていることがあります。中には、ビンに入れられて売られていることもあるでしょう。しかし、あまり狭い場所で水替えもせずに販売されているベタは、すでに弱っていることもあります。初心者が最初の一匹として購入する場合は、熱帯魚をたくさん扱っているペットショップで購入しましょう。
初夏~夏はベタの流通量が増える
日本では初夏~夏がベタにとって最も生きやすい季節になります。温度調節に気を配らなくてもいいので、流通量が増える時期です。ですから、いろいろな個体から選びたいという場合や、初めてベタを飼うという場合は、初夏~夏に流通するベタを選ぶといいでしょう。
元気でひれが破れていないベタを選ぶ
健康なベタは身体にできものがなく、口やエラが充血していないものをえらびます。また、ひれが破れている個体も病気の可能性があります。個体は元気でもエラが破れている場合は、ケンカをしたか適切な飼育環境ではない可能性があるので、避けてください。
ベタの飼育方法
この項では、ベタの正しい飼育方法を紹介します。コップでも飼えると言われているベタですが、実際はどうなのでしょうか?
ベタの飼育に必要な道具
ベタの飼育には、水槽・ヒーター・水質調整剤・フィルター・照明・水温計が必要です。ベタの飼育には5~10Lの水が必要です。ですから、水槽で飼育しましょう。どうしてもビンなどで飼育したい場合は、2L以上水が入るビンにヒーターをつけてください。ベタの飼育用の水槽セット(必要な道具がセットになっている製品)も販売されているので、それを使ってもいいでしょう。また、既存の水槽にベタを隔離して飼うことのできる水槽も販売されています。別の魚を飼っているが、どうしてもベタを飼いたいという場合は、利用してみましょう。
なお、ベタのひれを傷つけないように流木など固く背丈があるものは置かず、柔らかい水草や砂利を入れましょう。
ベタは水温が高めで流れが緩やかな環境を好む
ベタは水温が26~28度で流れが緩やかな環境を好みます。ですから、ヒーターや照明、ポンプでそんな環境を作ってあげましょう。また、水槽を立ち上げて2週間ほどたってからベタを入れてください。
ベタの餌やりは様子を見ながら上げる
ベタは食べ過ぎをしやすい魚です。ほしがるだけ上げていると便秘になったり泳ぎに影響が出たりします。ベタの餌やりは餌のパッケージに書いてある「目安」の少し少なめからはじめ、目安の量で一度止めます。そして、足りないようなら追加してください。毎日目安の量を大きく超えて餌をやるのはやり過ぎです。
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ベタを飼う際の注意点
この項では、ベタを飼育する時に初心者が特に注意するポイントを紹介します。ぜひ、参考にしてください。
ベタ1匹だけの飼育の場合、水やりは2週間に1度が目安
ベタを1匹だけ飼育する場合、水やりは2週間に1度が目安です。ベタは水温の変化の弱い魚なので、一気に水温が変わりすぎると病気になってしまいます。ですから、特に冬場は半量ずつ水を替えるなど、温度を一定に保つように工夫してください。
フレアリングは無理にしなくてもいい
フレアリングはベタにひれを広げさせる行為で、威嚇の意味があります。ベタの尾ひれが癒着しないため、もしくはベタ自身を元気にさせるために行います。単体飼育の場合、ベタに鏡を見せたりスマホでベタの画像を水槽越しに見せるとフレアリングします。しかし、フレアリングをしない個体もいるので、無理にさせなくてもかまいません。鏡を見せても無反応ならば、水槽を叩くなど刺激する必要はないのです。
通気性のよい蓋をして飼うこと
ベタは意外と跳ねる魚です。蓋をしないで飼うと水槽の外に飛びだしてしまうこともあります。ですから、通気性のよい蓋をして飼いましょう。園芸用の鉢底ネットなどがおすすめです。
まとめ
瓶の中で美しい尾ひれをなびかせてベタが泳ぐ様は美しく幻想的なものです。しかし。ベタを1年以上長生きさせたいならば、ぜひ水槽で飼いましょう。ベタは飼いやすい魚といいますが、生物なのでインテリア感覚では飼えません。飼育する場合は、最低でも水温が26~28度を保てる環境を整えて飼いましょう。